4. 低温における熱測定技術の開発


   近年の酸化物超伝導体の発見に代表される低温物理学、低温工学の発達に伴い、各種低温材料の熱物性値(熱伝導率k、熱拡散率a、比熱C、熱起電力Sなど)は、基礎、応用の両面において非常に重要な物理量です。一般に、極低温における強磁場下での熱物性値の測定は、配線からの熱侵入や計測におけるノイズの問題などが存在するので高度な測定技術が要求され、また高価な液体ヘリウムを大量に用いた長時間測定のために資金的にも技術的にも困難でした。
 1993年以降、我々のグループでは、ヘリウム冷凍機を用いて絶対温度4-300Kの温度範囲で固体の熱伝導率k、熱拡散率aを自動測定する測定手法を開発してきました。電力と冷却水のみで運転可能なヘリウム冷凍機の導入により、試料の冷却を液体ヘリウムを用いずに行い、液体ヘリウムの沸点4.2K付近からの測定が可能になっています。
 1998年にはヘリウムフリー型超伝導マグネット(5T)と組み合わせた磁場中熱物性測定装置を作製し、さらに2001年には科学技術振興事業団 岩手県地域結集型共同研究事業「生活・地域への磁気活用技術の開発」の一環としてヘリウムフリー型超伝導マグネット(10T)と組み合わせた磁場中熱物性測定装置を完成させ、各種材料の熱測定を行っています。
 このほかに、接触熱抵抗の研究や2次元同時熱伝導率決定法の開発など新しい測定技術の開発に取り組んでいます。

《具体的な研究内容》

・熱伝導率測定法
・熱拡散率測定法について
・磁場中熱物性測定装置について
・接触熱抵抗の測定方法
・2次元熱伝導率同時測定法


詳しくは、研究業績を御覧下さい。



左から、(a)ゼロ磁場熱物性測定装置、(b)磁場中(5T)熱物性測定装置


(c)磁場中(10T)熱物性測定装置(岩手県先端科学研究センターに設置)